ヒューマン2.0―web新時代の働き方(かもしれない)

ヒューマン2.0―web新時代の働き方(かもしれない) (朝日新書)

ヒューマン2.0―web新時代の働き方(かもしれない) (朝日新書)


On Off and Beyondのブログでいつも楽しませていただいている渡辺千賀さんの著書です。以前、なにかを調べている最中にこのブログに辿り着き、それ以後、つい読んでしまっています。 (^^;

本の中では、シリコンバレーの雰囲気というか文化、そしてそこで働いていくための知恵というか気構えについて独特かつ軽快なタッチで描かれています。読んでるうちにぐいぐいと引き込まれる感じで、あっという間に読んでしまいました♪


最近巷に「2.0」が多すぎるのでタイトルを見たときにはやや微妙かなとも思いましたが、ぜひたくさんの方に読んでもらいたい本です。以下、面白いと感じた部分の抜粋。

1998年の調査では、アメリカ国民の19%が「自分は国でトップ1%の稼ぎ」と思っている。さらに、その次の20%も「一生のうちいつかはトップ1%の稼ぎができる」と考えているのだそうだ。つまり、国民の2人に1人近くが「今すでに、もしくはやがて金持ちになれる」と信じているのである。能天気ではありませんか。理由はともあれ、周りに希望を持った人が多いのは楽しい。

いろいろな破天荒なことについて、「やればできるかも」という気にさせてくれる。その結果が失敗でも誰も責任を取ってはくれないが、少なくとも「どんどん挑戦しなよ」と無責任なまでに気分を高揚させてくれる場所、それがシリコンバレーなのである。

アメリカ人ですらびっくりするくらい「人件費の変動費化」が進んでいるのがシリコンバレー。(中略)雇う側の会社が一方的に強くて、雇われる側の個人が負け犬と化しているわけではない。

さて、そんなシリコンバレーでは、地域全体がひとつの会社のように機能している。転職者が常に巡り巡っていることで、ノウハウがどんどんほかの会社に広まる。特に「仕事の仕方」についての成功事例が伝播していくことが地域全体を強くしている。


8章からはじまる「ヒューマン2.0のルール」も秀逸です。ピンときたもの。

  • 自分と異なる人を受け入れる

コツは2つ。ひとつは、どんなに変わった人でも、共通の分かり合える何かがあるはず。それを探す努力をすること。もうひとつが、変わった人を「面白い」と思うこと。(中略)相手の常識と自分の常識、どちらが「正しい」のかを競う必要もない。異質な人たちを、異質なまま理解する。それだけのこと。

  • ラッキーになる

どれほど自分を理解していても「自分でもわからない私が5%くらいはあるかも」という程度に「フワフワ」を残しておくと、考えてもみなかったチャンスの前髪を掴むことができる。

  • 体力を身につける(または無駄なパワーを極力惜しむ)

脳は体の組織の中で、もっともエネルギーを必要とする器官。体力がないと、ここ一番でぐっと考えを深める時に集中力が続かない。アメリカではとんでもない体力を持った人のサバイバルが年に1回ぐらい話題になる...


ちなみにリスク一杯のシリコンバレーでは、そのリスクに見合った報酬が用意されています。以下、2006年半ば時点の相場を転載。

フェロー 160,000ドル(1850万円)
プリンシパル・エンジニア 145,000ドル(1700万円)
スタッフ・エンジニア 115,000ドル(1300万円)
エンジニア 80,000ドル(900万円)


でも、シリコンバレー現地法人で働く日本人の平均はここから20〜40%低いそうな。理由は昇給交渉、転職の際の条件交渉といったネゴが苦手な人が多いためらしい?


ま、お金はどうあれ面白そうなところですよね♪