そのときは彼によろしく

そのときは彼によろしく (小学館文庫)

そのときは彼によろしく (小学館文庫)

透明感のある作品でした。


舞台がアクアプラント・ショップということも多少関係あるかもしれませんが、作風自体に透明感が漂っている気がします。もうすぐ映画としても公開されますが、その幻想的なイメージがうまく描かれているとよいですね。


タイトルにもなっている「そのときは彼によろしく」。この言葉はてっきり主人公の一人である女の子のものかと思っていましたが、意外な人の言葉として登場しました。

出会うこと、好きになること、思いやること、思い続けること、そして別れること...
作品のなかで、それらがいろいろなかたちで描かれています。


人は後ろ向きにしか歩いていけないんだよね。見えているのはいつだって自分が歩いてきた道程ばかり。左の道に進んで初めて、右にも道があったことを知るんだ

悲しい思いをするっていうのも、その人に与えられた人生の一部だから。それがあって人生のパズルはすべて埋まるんだよ


エンディングは...