ディズニーランドのちょっといい話、ほか 2編

一ヶ月くらい前に聞いた話ですが、すっかり書くのを忘れていました。今日思い出すきっかけがあったので、忘れないうちに残しておきます。

  • ディズニーランドのサービス

ディズニーランドに行った人はたぶん見かけていると思いますが、あそこではアルバイトのごみ掃除のお兄さんが華麗な動きとほうき捌きでごみを拾っていたりします。はじめて見たときはミッキーマウスでもないのに奇妙な動きをするなぁと思ったのですが、あれはアルバイトの掃除マニュアルにそうするように書かれているものでなく、そのお兄さんたちが自分たちで考えて勝手にやっているものだそうです。

ディズニーランドではアルバイトさんのことを「キャスト」と呼び、自分たち自身で常に考えながら行動することを促しているそうです。

そんななかでこそ生まれたエピソードだと思いますが、以下はディズニーランド内のとあるレストランでのお話です。


ある若い夫婦がレストランを訪れ、お子様ランチを注文したそうです。マニュアル(さすがに一応ある)には、子供以外のお客さんによるお子様ランチの注文は駄目と書かれていました。ウェイターさんは当然その旨を若い夫婦に伝えて、ほかの料理を注文してもらえるよう頼んだそうです。夫婦はちょっと悲しそうに顔を見合わせていたのですが、別な料理を注文しなおしてくれました。

注文をとりおえて厨房のほうに戻る途中で、ふとウェイターさんは考えたそうです。


「なんで子供もいないのにお子様ランチを注文したんだろう...?」
「なんであんな悲しそうな表情をしたんだろう...?」


ウェイターさんは踵を返して夫婦の席に戻り、遠慮がちにお子様ランチを注文した理由を聞ききました。
若い夫婦にはちょっと前に亡くなってしまった子供がいたそうです。その日はちょうどその子の誕生日でした。生前、その子はディズニーランドが大好きで、よくそのレストランでお子様ランチを食べていたとのことです。それゆえ夫婦はそのレストランを訪れ、お子様ランチを注文したのです。


ウェイターさんは事情も聞かずに一度はお子様ランチの注文を断ってしまったことをお詫びし、急いで厨房の仲間の下に戻ります。そして相談しました。


彼らは子供くらいの大きさのテディベアをその子に見立てて夫婦のテーブルに席をつくり、その前にお子様ランチを用意しました。そしてハッピーバースデーの歌をみなで歌ったそうです。 (T T)


もしマニュアルのとおりにだけ動いていたらこのようなことにはならなかったでしょう。又聞きの話なので若干誇張されているかもしれませんが、ディズニーランドではこういった感動話を毎朝全部署にFAXで配信し、みなの前で読み上げるそうです。

おかげで朝から従業員のテンションはかなり高くなっているとのこと。ひとりひとりが考えて行動する意思を強く持っているってのは強力ですね。


自ら考えることが気づきにつながるというお話です。
北島康介選手はかつてスランプの時期があったそうです。コーチがいくら指導してもタイムがまったく伸びず、泳ぎ方の細かい部分に指示を与えてもまったく改善の見込みがありませんでした。

そこでコーチは指示をだすのをやめたそうです。

代わりに北島選手に考えさせました。自分の泳ぎのどこが悪かったかについて語らせ、自ら気づくことをうながしました。はじめのころはほとんど語ることができなかったそうです。でも続けていった結果、調子はめきめきよくなっていきました。
今では泳いだあとに、どこがよくて、どこがまずかったのか、そしてその理由はどこにあるのかについて小一時間でも話し続けられるようになったとのことです。


  • お菓子の効能

とあるシステム開発の会社で不思議な現象があったそうです。プロジェクトの成否をふりかえってみると、うまくいったところもあれば、そうでないところもあったそうです。ただ、奇妙なことにうまくいったところには必ず一人の女性エンジニアが関わっていたのです。彼女のスキルレベルはけっして高いわけではありません。中の下くらいとのことでした。にもかかわらず、彼女が参画したプロジェクトはなぜかうまくいくのです。

不思議に思っていろいろ彼女にインタビューしてみると、どうやらひとつの事実が浮かび上がってきました。彼女は新製品のお菓子が大好きで、参加したプロジェクトではティータイムと称して、プロジェクトメンバーを集めて買ってきたお菓子をふるまっていたそうです。

しょうがないなぁ的なノリで集まるメンバーですが、お茶とお菓子を前にしてややくだけた雰囲気のなか他愛もない話や仕事上のちょっとした連絡事項が交わされます。チーム単位で動いていて、いつもなら忙しさにかまけてほかのチームの状況に目を配る余裕がないのが、こうした和んだ空間があることでコミュニケーションが促進されます。

結果として、互いの状況の把握や問題点の共有が進み、プロジェクトが失敗するリスクが減っていたようです。人事的には、彼女の評価をどうつけていいか悩ましいらしいですが、お菓子パワー偉大です(笑)。