チーム・バチスタの栄光
以前から読みたいなぁと思いつつ、なかなか手にできませんでしたが、ついに読みました。
とても楽しったです。
最近読んだミステリーのなかではダントツかも!?
チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 599)
- 作者: 海堂尊
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2007/11/10
- メディア: 文庫
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面白さの理由を考えてみると、こんなところでしょうか。なんかふつーだな... (^^;
- リーダビリティの高さ
- 主役コンビのキャラクターの強烈さ
- 展開のスリリングさ
軽妙な文章からは主人公の心の声がそのまま伝わってきますし、主役を含め登場人物のキャラが立っています。一息に読んでしまいましたが、犯人予想は見事にはずれてしまいました。役人、医者、患者をとりまく医療の現場の実態をとらえ、医療行政や医療事故に対する問題提起を鋭く語っています。これだけ書けてて作者の海堂さんは新人なんですよね...
個人的には、厚生省の技官でロジカルモンスターや火喰い鳥の異名をもつ、白鳥圭輔の「応用心理学」のレッスンが興味深かったです。説得と心理読影のための手法で、前者が「アクティブ・フェーズ」、後者が「パッシブ・フェーズ」と呼ばれています。主人公の田口医師は後者の使い手、白鳥技官が前者の使い手として登場します。ふつうの人は半々にこれらの素養をもっているそうですが、彼らはそれが極端に偏っているみたいです。凸凹コンビです。ここらへんが物語りのいいスパイスになっている気がします。
以下、文中で語られているそれぞれの特徴です。
パッシブ・フェーズ
- 心理読影
- 途方もなく自我が希薄か、途轍もなく自尊心が高いひとが長けている
- 対象を自分の繭のなかに取り込んで、そこで吐かせる
アクティブ・フェーズ
- 説得
- 相手の心臓を鷲掴みにして、膿んでいる病巣にメスを突きたてる
- 極意
- その1: 「怒るか怒らないか、ぎりぎりのところで持ちこたえる」
- その2: 「ガツンとやる前に隠れる物陰を確保しておくこと」
- ガツンとやってピューっと逃げ、そして物陰から様子を見ます
- その3: 「用件が終了したら長居は禁物」
- その4: 「複数同時聴取で反射情報をからめ取れ」
- その5: 「身体を張って情報ゲット」
- その6: ? (P91 から P117 の間で明示的な言及ないのですがが、以下の部分かもしれないです)
- 「過去を看取るパッシブ・フェーズ、未来を創るアクティブ・フェーズ」
未熟で独善的な性格の人間は、パッシブ・アクティブ間でイメージの変化が起こりやすいと言われている
アクティブ・フェーズでは、隠された本質がでやすい
2つの相で印象が異ったとしたら、アクティブのほうが素顔に近い
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- その8: 「弱点を徹底的に攻めろ」
- その9: 「最後に信じられるのは自分だけ」
- 最終極意: 「すべての事象をありのままに見つめること」
- パッシブ・フェーズの基本原理で締めるところがにくいです
おなかいっぱいです♪